2年間のパンデミックによる混乱を経て、私たちの仕事のあり方は、どのように変化したのでしょうか? 社員がインスピレーションを得て、最高の状態で働けるようにするために、企業はどのような環境を用意すればよいでしょうか?
ポッドキャストの今年最初のエピソードでは、このようなテーマについて専門家たちが意見を交わしました。建物環境に関する知見をベースに、人間のニーズを理解することの重要性や、予測不可能な世界で生産性、ウェルビーイング、成長を促進する方法について、根源的な問いに迫っています。テクノロジー、心理学、ワークプレイステクノロジーのトレンド、そして変化する労働観などの話題が展開されました。
ぜひポッドキャスト本編で、専門家によるディスカッションのすべてをお聞きください。
9時5時は過去のもの——変化する仕事観
パンデミックの期間中、テクノロジーのおかげで、人々は自宅で(運がよければビーチでも)仕事ができるようになりました。長い通勤時間やラッシュアワー、スーツ姿とはおさらばだ、といった声も聞かれました。それならば、少なくとも仕事への士気は高まっているだろう、と思われるかもしれません。しかし、単純にそうとは言えません。確かに多くの労働者がメリットを享受している一方、さまざまな業界で、燃え尽き症候群に陥る人の割合が、無視できないほどに高まっているのです。
いったい何が原因なのでしょうか? そこには密接に関連した2つの問題が浮かび上がります。まず、多くの労働者が過剰な負担を感じています。一部の国では「切断する権利」を保護する法律を制定しようとしているほどです。同時に、在宅勤務生活の限界があります。子供がいたり、多世代が暮らす家、広くない家に住んでいる人にとって、リモートワークは決して容易なことではありません。そのような人たちは一刻も早くオフィスに戻りたいと思っていたのです。
Morten氏はこう指摘します。「若く才能のある人たちは、今や月曜から金曜まで9時5時のスケジュールで働きたいとは思っていません。仕事とはその日の好きなタイミングでこなすものだと捉え、充実した生活を維持したいと考えています。絶え間のないZoom会議や上司とのミーティングは望んでいないのです」
Stephen氏はこう付け加えます。「ひとつのモデルがすべてに当てはまるわけではありません。国や事業分野によって状況は異なります。リモートワークは今後も続くと思われますが、雇用主はハイブリッド型の働き方の導入を検討しておくべきです」。今後の数年間で起こると考えられる仕事観の変化に、企業は柔軟に対応していく必要がありそうです。
Morten氏は、職場環境を考えるにあたっての認識の変化を分析しています。「仕事は単なる作業ではないということが、よりはっきりと認識されるようになってきました。仕事は私たち人間が行うものです。そのため、空間環境が仕事の質に大きな影響を与えます。様々な仕事形態において、空間の重要性がより認識されるようになっているのです」
同氏の個人的な体験として、自宅では3時間かかった管理関係の作業が、カフェでは1時間半で済んだことがあります。カフェでは適度な集中力が得られたからです。一方、同氏の友人は、そのカフェはあまりにも騒がしく、全く仕事にならなかったと言います。つまり、人によって最適な環境は違うのです。
このようなことからも、雇用者は、社員個々のニーズを把握し、物理的/オンラインの両方でどのような空間を用意すれば、士気や生産性、健康・安全、社員の定着率の向上につながるかを考える必要がありそうです。
Victor氏は、大局的な視点から次のように指摘します。「ほとんどの企業や組織は、職場環境の未来を考えていると思います。ただ、多くの場合、ロケーションの問題だけに焦点が当てられ、仕事のあり方を問い直すまでには至っていません。柔軟性、テクノロジー、ウェルビーイングという3つのキーワードで、仕事自体の未来を考えることが大切です」
そのためには、タスクベースの仕事モデルの導入を検討し、社員がどこにいても、適切なツールや環境で仕事ができる仕組みを用意していく必要があるでしょう。
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ポッドキャストは英語で提供しています
最高の仕事をするための空間
Victor氏は、最適な空間づくりに関連して、「眺望 – 隠れ場理論」を紹介しました。人は、視界が開けていながら、自分の身を隠せるような環境を好む傾向があるという理論です。たしかに戦略的な思考をする際には、多くの情報を与えてくれる空間を高いところから眺めるとうまくいきそうです。
現在の形のオフィスが誕生してから、わずか200年ほどの歴史しかありません。しかも、その形は、かつての工場や倉庫での仕事をベースにしたものです。この2世紀の間に、あらゆる物事が変化しました。Victor氏が説明するように、「私たちは箱を作り、自然を排除した密閉環境の中で、人工光を浴び、内部を循環する空気を吸うことばかりをしてきました。最高の仕事ができるはずの屋外へのアクセスを自ら制限してきたのです」
今こそ、この段階を超え、深い洞察力によって何が人を発展させるのかを理解し、それを促進するテクノロジーを活用して、進化を始める時です。そのためには、ある種のマネジメント方法の転換と、総合的な視点がカギを握ります。
Morten氏は次のような例を紹介します。「オフィスに顔を見せない人は昇進のチャンスが大幅に低くなるというデータが、多くの企業で出ています。つまり、いくら優れた在宅勤務制度を導入し、それがうまくいっていたとしても、10人中8人の経営幹部は、実際に対面で顔を見た社員を昇進させたいと思っているのです」。これでは優秀な人材を失ってしまいそうです。
それよりも、企業はテクノロジーのトレンドを把握し、出社/リモート/ハイブリッドといった労働形態を問わず、データをもとにした意思決定を行っていく必要があるでしょう。各人の仕事の質に着目し、それが会社全体のウェルビーイングにどのようにつながっているかを考えることが重要です。
ワークプレイスのテクノロジーが、世界をより良い場所にする
私たちが前進する上で、テクノロジーは欠かせません。リモートワークを実現させたように、あらゆる場所で、より人間中心の仕事環境を構築するために、テクノロジーは重要な役割を担います。とくにポイントとなるのが、組織によるビッグデータの活用です。
健康や安全がこれまで以上に重視される中、企業が長期的な視点でオフィスワークへの回帰を計画する上で、データは非常に重要です。この課題に対し、Friday PMのような企業は、人工知能やセンサー、分析機能を活用して、オフィス環境の高度な調整を可能にしています。
たとえば、建物内の二酸化炭素レベルを監視し、それに応じて人の占有率を調整します。このような制御は空間のレイアウトにも活用できます。空間環境やオフィス家具の配置によって、チームの働きがどう変化するかを測定し、社員個々のウェルビーイングの向上を目指して、微調整を繰り返せるようになっています。
現在の仕事を分析し、未来を探る
ここでは、未来の仕事とワークプレイステクノロジーについての洞察や知見の一部を紹介しました。ポッドキャスト本編では、リーダーたちが、進化する仕事環境やその設計について自らの経験を共有し、若い世代の「知性」と年配世代の「知恵」をいかに調和させるかという課題を掘り下げ、メタバースについても触れています。
Starの社内スタートアップであるFriday PMが提供する、デジタルワークプレイスを進化させるプラットフォームについても、ぜひ詳細をご覧ください。ソーシャルメディアでも情報を発信しています。Friday PMは、世界中の企業が適切なアプローチと最新のテクノロジーを活用して、人々の能力を最大限に引き出す、柔軟で目的を見据えた職場空間を構築できるよう支援しています。