この5年ほど、モビリティと決済の両分野にベンチャーキャピタルから多額の資金が投じられ、革命の基礎が築かれようとしています。
モビリティ分野では、配車サービス、カーシェアリング、超小型モビリティ、モビリティ・アズ・ア・サービス(サービスとしての移動)を組み合わせた動きが活発です。これらは自律走行車、コネクテッドカー、電気自動車の進歩と相まって、自動モビリティ業界を根本的に変えようとしています。変化を続けるユーザーのニーズに適切に対応できるテクノロジー企業が、従来の自動車メーカーの牙城を崩しつつあります。
決済分野では、非接触型の決済方法が増加を続けています。英国では2027年までに、すべての支払いの36%が非接触型の決済になると見られています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、現金を取り扱うことのリスクが認識されたことで、この動きはさらに加速するかもしれません。また、暗号通貨決済や、支払いを意識しないようなインビジブル決済の増加も見られます。
パーソナライズされた新しい体験を提供するという課題に、モビリティ事業者はどう取り組めばよいでしょうか?
曖昧になる境界
私が2020年に特に関心を寄せている動きのひとつは、決済分野とモビリティ分野の境界が曖昧になり、ユーザーに新しい体験と利便性をもたらそうとしていることです。この分野の事業者にとって、顧客を深く理解し、顧客から見た自社の重要性を高めることで、より多くのチャンスが生まれるでしょう。
以下に、興味深い事例の一部をご紹介します:
- Bird pay:スクーター会社のBirdが提供開始したBird Payは、WeChatのようなQRコードを使ったモバイル決済サービスです。スクーターのライダーが、近くにある対応店舗で商品を購入する際に利用できます。東南アジアで展開するGrabや、最近Uber Moneyを発表したUberなど、他のモビリティ企業もこれに追随しています。
- AppyWay:ドライバーを駐車の悩みから解放するためのサービスを展開している英国のモビリティ関連企業AppyWayは、Visaと提携したワンクリック駐車システムを導入しました。駐車スペースに車を停めると、アプリが道路のセンサーとペアリングを開始。ユーザーは正確な利用時間分の料金をワンクリックで支払えます。StarとAppyWayの提携について、詳しくはこちらをご覧ください。
- 今年初め、エクソンモービルとFiservは、新しい「Alexa pay for gas」スキルを年内に11,500箇所のガソリンスタンドで利用できるようにすると発表しました。
将来を見据えて
今この分野で現れているのは、まだイノベーションの兆しに過ぎません。今後数年で、次のような、より大規模でインパクトのある事例が見られるようになるでしょう:
- 車両のHMI(ヒューマンマシンインターフェース)として、複合現実のオーバーレイ表示が導入され、過去の移動データに基づいた価格、割引、支払い方法を表示
- 違反取り締まり用カメラが、スピード超過の車両から自動的に罰金を徴収
- 個人の車両をオンデマンドの収益源として活用。車を他人に貸し出し、使用時間や移動距離に応じて料金を請求する
- 電気自動車が、帰宅するのに必要な電気量を自動算出して、その分だけ充電。料金は車載システムから直接支払うことも可能
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