オンラインで行われた今年のCES 2021で、注目を集めたテーマといえば「デジタルヘルス」。新製品の発表から、「BioButton」や「Epsy」などが受賞したベスト・オブ・イノベーション賞、キーパーソンによる講演や討論まで、至るところでデジタルヘルスが話題となりました。
例年のように今年のCESでも、今後重要になるであろうトレンドやイノベーションが見られました。CESから得られた急速に成長するデジタルヘルスについての知見を、レポート『医療を再定義するデジタルヘルスの動向とイノベーション』にまとめています。
CES 2021のハイライトをいくつかご紹介します。
自宅が病院になる未来
2020年は、定期健診からメンタルヘルスの治療まで、さまざまな患者ニーズに対応できる遠隔医療の力が示された年でした。
ただ、デジタルヘルスの潜在力はそれだけに留まりません。遠隔患者モニタリングやAIを使ったソリューションなどにより、ますます多くの医療・ヘルスケアのサービスがリモートで提供されるようになるでしょう。
遠隔医療が消費者向けヘルスケアの普及を進める
デジタルヘルスは、患者さんと医療提供者とのギャップを埋めます。遠隔医療により、従来の健診や診察では実現できなかった、統合的なサービスをユーザーに提供できるようになるのです。
CES 2021では、これまで不可能だった選択肢をユーザーに提供し、「価値に基づいた医療」の導入を推進するようなヘルスケアサービスが紹介されました。
遠隔医療は、メンタルヘルスや慢性疾患、トリアージ、健康診断などに役立つだけでなく、コストの削減やワークフローの改善、患者さんと医療従事者との継続的なコミュニケーションや必要に応じた介入を可能にし、ユーザーだけでなく、医療提供者やその他のステークホルダーにも価値をもたらします。
次世代のテクノロジー
CESでは例年、新製品のお披露目や、業界リーダーによる基調講演や討論が注目を集めますが、今年はそこから未来の医療の姿が明確に浮かび上がってきました。
それはウェアラブルデバイスやセンサー、AI、大規模データを活用した、オンデマンドで利用できる医療です。
レポートでは、以下のような画期的なイノベーションについて解説しています。
- 新旧デバイスの統合:製品やサービスを統合して、シームレスで相互運用可能なエクスペリエンスを生み出す仕組みが登場しています。
- より迅速で、より安全な臨床試験:AIはヘルスケアのさまざまな分野を変革し、次世代のワクチンや医薬品の開発の高速化に貢献しようとしています。
- デジタル治療の台頭:2021年には、さらに多くのデジタル治療製品がFDAなどの規制機関の承認を取得し、この分野全体の規模が拡大していくと予想されます。
- 精密で予測的な医療:特定の病気にかかるリスクだけでなく、時期ごとの発症可能性も教えてくれる遺伝子検査が登場し、患者さんや医療提供者の意思決定をさらに支援していくでしょう。
医療を再定義するデジタルヘルスの動向とイノベーション
デジタルヘルスが「価値に基づく医療」革命を後押ししています。CES 2021では、その変化のペースがますます加速している様子が見られました。
画像出典: Origin Wireless「Origin Home & Health」 · CVS「Symphony」 · Philips「患者モニタリングキット」