個別化医療の導入に向けた戦略とは

David Box

by David Box

個別化医療ソリューション R1hbapm

私たちは今、個別化の時代を生きています。データの活用により、あらゆるデジタル体験、そして最近では物理的な体験も、個人別のニーズや欲求、関心に合わせてカスタマイズされるようになってきました。医療・ヘルスケアも例外ではありません。患者中心のソリューションが日常生活に浸透し始め、治療成果の向上が見られています。

現在、そしてこれからの医療は、個人を中心に置いて統合的にデザインされたものになっていくでしょう。慢性疾患やメンタルヘルスなど各種疾患に対して、センサー、ウェアラブルデバイス、デジタル治療といった新しいテクノロジーを活用したソリューションが登場し、「自己の定量化」をベースにしたヘルスケアに不可欠な存在となりつつあります。

恩恵を受けるのは患者さんだけではありません。保険者や機器メーカー、製薬会社、業界横断的な企業なども、個別化医療を通じて、データの有効活用や、業務の効率化、新たなビジネスチャンスの創出といったメリットを享受し始めています。

個別化医療の台頭

今日の医療は、患者さんを中心に考えた、個別化医療を軸に設計されるようになってきています。エコシステム内のさまざまな関係者が、人々がより生産的で健康的な生活を送れるよう、医療用/非医療用の機器やデジタルソリューションを処方し、その使用を奨励しています。

個別化デジタル医療を実現するソリューションには、以下のようなものがあります。

分散化や「価値に基づく医療」への移行といった業界の変化が、テクノロジーのさらなる開発と利用を促進しています。そして、テクノロジーが進歩するほど、業界のトレンドもさらに確立されていくという好循環が生まれています。

personalized care (2)

医療の進化とAI技術の台頭により、ケア提供における個別化とコンシューマライゼーション(一般消費者向けのシステムやサービスの導入)の重要性がさらに定着していくでしょう。

個別化が在宅医療を促進する

パンデミックの1年は、在宅医療の重要性を私たちに知らしめました。在宅医療は、もはや遠い未来のモデルではありません。新型コロナウイルスが遠隔医療を後押ししたこともあり、在宅でのケアがますます増えています。急速に進む高齢化社会(米国では1日に約1万人が65歳に到達)や医療従事者の不足など、医療が抱える難題を乗り越えるためには欠かせない動きです。

家庭で使われるコネクテッド型ヘルスケア製品のなかで、私たちStarがとくに気に入っているのがスマート歯ブラシです。もともと日常生活に溶け込んでいた歯ブラシに、これまでにはなかった機能を加えているのが特徴です。たとえば、歯ブラシを正しい角度で持っているか、1日に十分な回数を磨いているかなどをチェックして、口腔ケアをサポートしてくれます。導入へのハードルが低く、人々は楽しみながら製品を使用できます。

このような消費者グレードの製品も、すでに保険者を始めとする医療業界関係者から支持を得ています。たとえば、Beamのような歯科保険会社は、スマート歯ブラシを使用すると保険料が安くなるサービスを提供しています。今後、自宅ケアが主流になるにつれて、この分野の機器やソフトウェアが医療/非医療グレードの両方で増加していくと予想されます。

パーソナライズされたヘルスケア ソリューション beam

医療機器メーカーにとっての個別化

個別化は、医療機器の革命を先導していると言っても過言ではありません。消費者向けのテクノロジーは医療グレードに近づき、医療機器は消費者に使いやすいものへと進化しています。

つまり、医療機器と非医療機器を分ける境界がますますなくなってきていると言えます。慢性疾患などを管理するツールのなかには、医療機器とみなされなくても、保険者のサポートを受けられるものが数多く存在しています。禁煙アプリ「Clickotine」も、そのひとつです。治療効果を謳っていないため、FDAの認可は不要でありながら、健康保険会社からの払い戻しや特典に対応しています。

全体的に見れば、デジタルヘルス製品に対する規制は緩和される方向にあります。20年前には、多くのヘルスケア製品が自動的に医療機器とみなされていたことを考えると、時代は変わりつつあります。

医療機器としての承認プロセスを必要としないなら、投資コストを抑えられ、市場投入までの時間を短縮でき、細かな開発を繰り返して製品を改良しやすくなります。また、OmadaやPearといったデジタル治療(DTx)企業のように、まず製品を市場に投入し、ユーザー基盤を確立した後に、FDA承認取得の手続きに入るという「二兎を追う」アプローチへの扉も開かれています。

製薬会社にとっての個別化

DTxといえば、製薬会社にはDTxを活用して、費用対効果の高い、患者さん中心のデジタルソリューションを提供するチャンスがあります。新薬の開発にかかる平均コストが10億ドル(約1000億円)を超えるなか、プログラム医療機器(SaMD)やデジタル治療なら、その何分の1かのコストで、短期間で成果を挙げられる可能性があります。

製薬会社は、DTxソリューションとは適度な距離を保ちたいと考えるかもしれませんが、実際、デジタルヘルス技術には大きな可能性があります。とくに注目すべきなのは服薬アドヒアランス(患者さんが納得して、積極的に服薬指示を遵守すること)向上への貢献です。

Starは、そこに音声/バーチャルアシスタントの活躍の場があると考えています。高齢化社会を迎えるなか、人々がより健康的で自立した生活を送るためには、このようなツールが不可欠になるはずです。とくにアルツハイマー病や記憶障害のある人々に役立つと考えられます。製薬会社は、直感的に利用できるアプリケーションを作成して、治療を補強することで、アドヒアランスを向上させ、最終的に命を救うことにつなげられるでしょう。

パーソナライズされたヘルスケア ソリューション voice

データとAIが担う役割

機器メーカー、小売企業、製薬会社、業界横断的な企業など、エコシステム内のあらゆる関係者がデータから恩恵を受けられます。データにより、個別化と患者さん中心のケアを実現でき、AIを活用した医療に向けた基盤も整備できます。

AIを活用することで、人々は健康状態を管理しやすくなり、医療提供者も継続的に患者さんの健康管理に関われるようになります。現在、慢性疾患の患者さんが医師と過ごす時間は、平均で1%に過ぎません。AIを活用したツールにより、医療従事者は面会時間を増やし、患者さんを長期的に見守れるようになります。

患者さんの視点では、AIは在宅医療の拡大、およびツールの提供に重要な役割を果たします。医師にとっては、データ分析疲れに陥らないためにAIツールが役立ちます。単にアクセス数を増やすような使い方ではなく、AIを使ってワークフローを最適化し、サービスの利用率を高め、アウトカムを向上させることが大切です。

テクノロジーはかなり成熟しています。すでにAIはX線写真の確認や、文字起こし、予約の受付などに貢献しています。ただ、変革はまだ始まったばかりです。今後、さらなる方法で医療を変えていくでしょう。

AIを活用してヘルステックの可能性を引き出しましょう。

個別化医療の未来

今後10年間で、医療の世界は急速に進化していくでしょう。たとえば、ウェアラブルデバイスが受動型センサーや生体情報などに取って代わられることが想像されます。それは遠い未来のことではないはずです。

すでに市場に出ているAnuraというアプリは、スマートフォンカメラで撮影した自撮り映像から、次の指標を測定します。

  • 心拍数
  • 不規則な拍動
  • 呼吸数
  • 血圧
  • 心拍変動
  • ストレスレベル
  • 心血管疾患のリスク

アプリはApp Storeからダウンロードできます。一度使ってみれば、デジタルヘルスの急速な進化を実感できるでしょう。

パーソナライズされたヘルスケア ソリューション anura

もうひとつ、私たちが期待しているテクノロジーに、空間コンピューティングがあります。Magic Leapはこの技術を進化させ、3Dデジタルコンテンツを使った協調作業を実現。従来の医療に存在した、地理的な障壁を取り除きます。

パーソナライズされたヘルスケア ソリューション magic leap

他にも音声バイオマーカー、スマートミラーといった未来志向のテクノロジーが登場しています。これからは、そのような技術をどう活用するかを考え、データフローを統合し、適切なパートナーを見つけて、拡張可能な患者さん中心の健康ソリューションを構築していく時代になるでしょう。

個別化医療を導入するには?

私たちStarは、ZEISSのような実績のある小売企業から、One Concernのような健康分野の革新を目指す領域横断的な企業まで、デジタルヘルスツールの活用を考える多くの企業とコラボレーションしてきました。

私たちStarは、ZEISSのような実績のある小売企業から、One Concernのような健康分野の革新を目指す領域横断的な企業まで、デジタルヘルスツールの活用を考える多くの企業とコラボレーションしてきました。

市場参入までの具体的な道のりはさまざまですが、以下のステップを基本とすることで、患者さん中心のケアを実現する基盤を固められるでしょう。

  • 相手を知る:製品開発に着手する前に、市場を調査し、仮説を検証して、ニーズを確認することが大切です。
  • 調査する:対象領域にはどのような制約があるのか、開発する製品は医療機器とみなされるのか、などを調べます。医療分野では、このプロセスは避けて通れません。たった1つの機能の有無によって、カテゴリーが変わってくる場合もあります。
  • アイデアを創出する:デザイン開発を繰り返し、ユーザーテストを行います。市場において患者さんに採用してもらえる状況にあるかどうか確認します。
  • コンセプト化と検証を行う:検証の結果は素直に受け入れましょう。製品が思うように機能しない場合は、それ以上進めないことです。製品が医療機器だとみなされる場合は、早い段階から規制当局と緊密に連携しましょう。「使われないものは作らない」が鉄則です。
  • 実行する:実際にヘルスケアソリューションを構築し、市場に投入します。

Starは、これらすべての段階において、さらには市場投入後の製品管理や将来の成長に至るまで、あらゆるプロセスでパートナーとして支援します

画像出典:Paratus PeopleAiCure

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David Box
Starヘルステック部門マネージングディレクター

DavidはStarヘルステック部門のマネージングディレクターとして、お客様と協力し、デジタルヘルスケア製品のアイデア出しや開発を担い、構想からローンチ、それ以降の展開までを支援しています。Starに加わる前は、ヘルスケア業界のクライアントと10年間にわたって協働し、患者さんの治療結果やエンゲージメントを高め、ヘルスケア体験を向上させる、市場をリードする製品やサービスを構築してきました。

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