新型コロナウイルスは継続的な被害と不確実性をもたらしました。バリューチェーンも近年にない深刻な打撃を受けました。だだ、コロナウイルス以外にも、起こりうる災害は数多くあります。しかも、これまで以上に相互に結びついた世界では、その影響はもはや局所的なものにとどまりません。
この10年間を見ても、さまざまな災害がありました。日本は大きな地震と津波を経験し、重要な産業やインフラが数か月、数年にわたって影響を受けました。10年経った今でも、完全には復興していないとも言われます。
また、ハリケーン「サンディ」が、米国のニューヨーク州やニュージャージー州などに甚大な被害をもたらしたことは広く知られていますが、実はカナダのオンタリオ州でも1億ドルの被害が出ています。北部のこの地域は、通常ならば、この種の気候災害に対しては極めて安全だと考えられていた場所です。
新型コロナウイルスのパンデミック、カリフォルニアの山火事、アジアの台風など、無数の脅威が存在するなか、今日の企業は復元力(レジリエンス)、柔軟性(フレキシビリティ)、持続可能性(サステイナビリティ)を重視していく必要があります。災害による混乱を未然に防ぐことはできません。ただ、いつ、どのように対処すればよいのかを知り、長期的な影響を抑えて、できるだけ早く仕事や生活を通常状態に戻す方法を理解することで、災害に備えられます。
パンデミック後の世界における復元力とは
世界でワクチン接種が進み、トンネルの先に光が見えてきました。パンデミックは困難をもたらしましたが、意思決定者らが復元力(レジリエンス)が喫緊の課題であると気付いたことは明るい兆しだと言えます。
コロナウイルスの脅威は、私たちの行動変容と、困難な課題に対処するための新しいテクノロジーの開発を促しました。
私たちは、次なるパンデミックや気候変動といった危機に備えなければなりません。世界的な危機はもちろん、地域的な危機もサプライチェーンや業務、能力、生活に大きな影響を与えます。その理解が進んだことで、1年前に比べて、より具体的に脅威を想定できるようになっています。
このような背景を考え、StarはOne Concernとの継続的なパートナーシップを結びました。One Concernのミッションは、優れた復元力を持つ世界規模のソフトウェアプラットフォームを生み出し、災害の影響を抑えられるよう企業を支援することです。同社は主として気候関連の課題に焦点を当てていますが、新型コロナウイルスのパンデミックに際して、ビジネスリーダーがいつ、どのように仕事に安全に復帰すればよいのかを判断するツールを構築しようと、Starにアプローチしました。
そして、私たちは「COVID Calculator」を共同開発しました。これは、データモデリングにより、従業員の健康・安全や会社全体の財務状況を考慮した判断を支援する、直感的なクラウドベースのツールです。雇用主はこのツールを使用して、感染状況が常に変動するなかでも、感染リスクと予防策についてより有益な情報が得られます。
このプロジェクトを通じて、私たち自身が復元力についての学びを得ました。COVID Calculatorを役立つものにするためには、数か月ではなく数週間単位で開発し、リリースする必要がありました。同時に、すでに情報過多となっている雇用主が情報を容易に理解し、質の高い情報に基づいた意思決定を行えるよう、ユーザーエクスペリエンスを重視する必要もありました。
COVID Calculatorは始まりに過ぎません。Starは今後も、企業が気候変動の問題に取り組み、持続可能性を実現していくために、より広範な復元力を備えたサポートを展開していくつもりです。
新型コロナウイルス後の世界における柔軟性とは
パンデミックは新しい働き方への扉を開きました。現在、60%の人が、常時または大部分の時間、自宅で仕事をしたいと考えています。このような意識の変化を受け、この先10年間で柔軟なリモートワークが新たな世界標準となっていくでしょう。
とはいえ、組織のため、気分転換のため、あるいは同僚との共同作業を深めるために、オフィスに戻りたいと思う人も多いでしょう。
ビジネスの内容は会社や部署によってさまざまですが、新しい職場環境のコンセプトについて、今から考えておくことが大切です。このような背景から、私たちは革新的なスタートアップ「Friday PM」に大きな期待を寄せています。Friday PMは、革新的、健康的かつ持続可能な新世代の職場環境を推進する、ワークプレイス進化プラットフォームです。
Friday PMは、AIとデータサイエンスを活用して、職場環境の変革と最適化を支援します。新型コロナウイルス感染症に関する安全性への配慮から、従業員が生き生きと働くために最適な空間の使用・管理方法まで、幅広くカバーしています。アナリティクス、AIアルゴリズム、意思決定インテリジェンスを組み合わせて、多くのデータポイントから得られる複雑な分析情報を、わかりやすく実用的なインサイトに変えて提示します。
このようなツールを使用することで、企業は規模に関わらず、優れた資産管理や柔軟性、従業員の健康・安全を確保できます。
パンデミックは私たちの学び、生活、仕事をどう変えたのでしょうか。ポッドキャストで解説しています。
持続可能性
復元力(レジリエンス)と柔軟性(フレキシビリティ)に加えて、持続可能性(サステイナビリティ)も必要な要素です。持続可能性は単なる流行語ではありません。気候変動による危機に直面するなかで、業務の効率化、柔軟化を実現するための概念でもあります。例えば、COVID Calculatorのようなツールは、パンデミック時の短期的な意思決定に着目していますが、Friday PMは、新型コロナ関連の機能と長期的な課題の両方に対応する、真の「ワークプレイス進化プラットフォーム」として、より広い領域をカバーしています。
「次なる日常」へとギアチェンジするにあたって、あらゆる企業が持続可能性という喫緊の課題に直面するでしょう。そのとき、このようなツールが力を発揮します。持続可能性は、倫理的責任の話にとどまりません。資源の有効活用への備えとビジネスの最適化の話でもあるのです。
当社のパートナーであるAnalog Devicesは、新型コロナ禍からの復帰だけでなく、顧客の持続可能性への取り組みも支援しています。同社は、さまざまな物理的/デジタル的なツール群を展開していますが、その中でも私たちのお気に入りは「ADI EagleEye」です。
EagleEyeは、ハードウェアとソフトウェアを統合した、エンドツーエンドの利用率監視ツールです。データ収集と人数カウントをスマートかつ安全に行い、人員、資産配分、エネルギー効率に関する分析情報を提供します。
ビルで消費されるエネルギーの約65%を照明と空調が占めると言われるなか、経営者がエネルギー使用についてより良い判断をするために、EagleEyeからの情報が大いに役立ちます。その結果、環境に配慮した企業活動を実現できるだけでなく、莫大なコスト削減にもつながります。
このような各方面にメリットのある仕組みを、Starは熱く支持しています。ビジネス、環境、そしてすべての人に役立つテクノロジーを広めていきたいと考えています。
予測不能性や変化への対応は資産になる
復元力、柔軟性、持続可能性はすべて相互に関連しています。今、これらに注力することで、将来に備えるだけでなく、現在の業務も効率的になります。明日がどうなるかを知ることはできません。ただ、この1年で私たちが学んだのは、パンデミックのような短期的な混乱や、気候変動の抑制といった長期的な課題の中で、ビジネスを成功させるためには、これらの概念を現実的な行動に移していく必要があるということです。
Starは、お客様が事業の目標を達成しながら、従業員の健康や地球環境を守り、さらなる成長の機会を生み出せるよう支援しています。具体的な方法について、ぜひお問い合わせください。